乳癌のしこりは痛いの?
ここでは、「乳癌のしこりは痛いのか」
についてお話します。
乳癌の特徴として、胸にできるしこりが
よく知られています。
ですが、しこりという言葉は日常生活では
あまり使う機会もなく、乳癌のときにできる
しこりについては正しい知識が十分に
浸透しているとは言い切れないのが現状です。
今回は乳癌のしこりとは
どのようなものなのか、
しこりに痛みは伴うのか、
という点についてご紹介します。
乳癌のしこりの特徴
乳癌のしこりとは、自分で
胸を押してみたときに触れる
硬い塊のようなもののことです。
乳がんには良性と悪性があります。
良性のしこりは、体の他の部位には
転移しないタイプのもので
消しゴムのような感触で、
触るとコロコロと動きます。
一方、悪性のしこりは体の他の部位に
転移するタイプのもので
石のような感触で可動性はありません。
乳癌のしこりは乳房の外側の
上部に最もできやすく、
内側の上部、外側の上部、
中心部の順にできやすい部位となります。
乳癌ではほとんどの場合、
しこり自体に痛みは伴いません。
乳房のしこりには痛みがないので
実際に触れたり、健診に行かないと
発見が難しいとされています。
乳癌で痛みが現れるのは
いつごろからなの?
乳癌の場合、癌が乳腺内にとどまり、
炎症を起こしていないうちは
痛みはありません。
しかし、癌が進行して乳房内に
広がってくると痛みが現れます。
癌化した細胞に感染が
起きてしまったり、胸郭に
癌細胞が進出した場合には
強い痛みが現れます。
癌が腕の神経の束まで
広がった場合には、乳癌早期でも
肩や腕に痛みを感じるようになります。
また、癌がリンパ節に転移して
リンパの流れを妨げることで、
リンパ液がうっ滞して浮腫となり、
肩に強い痛みが現れます。
さらに、手術で癌を切除した場合、
幻影痛や乳房切除後疼痛症候群
という痛みが現れることがあります。
幻影痛とは、切除したはずの乳房が
まだそこにあると体が
錯覚することによって
痛みがあるように感じたり、
しびれやだるさを感じることです。
乳癌の手術後にまれに発生します。
乳房切除後疼痛症候群は手術によって
神経を傷つけることや手術中に
神経に十分な血液が流れないことによって
術後に常にヒリヒリとした痛みがあったり、
触れると痛みを感じることがあります。
痛みが3か月以上続いて慢性化する場合に
「乳房切除後疼痛症候群」
と呼ばれます。
胸のしこりに痛みを伴う場合に考えられるのは?
前述したように初期の乳癌の
しこりのほとんどは痛みを伴いません。
そのため、胸のしこりに痛みがある場合には
乳癌以外の病気である可能性もあります。
・乳腺症
乳腺症とは30代〜閉経前後に多く、
片方または両方の乳房みられる
しこりと乳房からの分泌物、
乳房の痛みが特徴の病気です。
月経の前に症状が増強し、
月経が終わると症状が
軽快することが多いです。
しこりは触るとよく動きます。
閉経後には症状がなくなるため
経過観察で特に治療が
必要ない場合がほとんどですが
痛みが強い場合には内服薬による
痛みのコントロールと治療が行われます。
しこりに痛みがあるからといって
乳癌ではないとは言い切れません。
炎症性乳癌と言って
痛みを伴うタイプの乳がんもありますし、
癌ができる部位によっては
神経を圧迫することで
痛みを伴うことがあります。
胸にしこりを見つけたら
専門の医療機関できちんと
検査してもらった方がよいでしょう。
早期発見で治療の選択肢は広がり、
完治できる可能性も広がります。
「乳癌ではない」
と自己判断するのではなく、
乳腺外科を受診しましょう。